金属表面には機能に応じて様々なコーティングがなされることがあります。
基本的にはステンレス鋼はその強靭な耐候性、耐久性があるので、
ステンレス鋼種という鋼のグレードを適材適所で選択することで
コーティングを施す選択をします。
しかし、ステンレス鋼といえど成分は鉄が大半を占めるので、絶対に錆が発生しないわけではありません。
サビが広がる期間を伸ばすのが綱種グレード選択のポイントとなります。
もちろん、メンテナンスを定期的に行うことで錆の発生を防ぐことができます。
今回のコラムでは、コーティングをあえて施すケースをご説明します。
ステンレス鋼へのコーティングのケース
金属へのコーティングというと大変幅が広く細分化しています。
そこで、代表的な用途からコーティングのケースを記載したいと思います。
1)識別
2)意匠性・デザイン
3)耐指紋
4)腐食防止
5)抗菌・抗ウィルス
6)熱遮断
今回のコラムでは上記6つのシーンに分けて、一つ一つ詳細を解説いたします。
識別
識別のために行うものです。
コーティングというよりは塗装や印刷的な範囲となります。
塗装なので、スプレーや刷毛、ローラー塗り、シルク印刷などが該当します。
意匠性・デザイン
意匠性やデザイン向上のために、ステンレス鋼の意匠を活かしたコーティングや着色を行うことがあります。
ステンレス素地を活かす、クリア塗装
ステンレスの素地を活かして、色調を与える、カラークリア塗装
ステンレスの素地を活かして、化学発色するカラーステンレス
ステンレスの素地を活かして、黒色化する電解発色
ステンレスの素地を活かして、強靭な皮膜を形成する、真空蒸着
このようなケースがあります。
耐指紋
ステンレス鋼をはじめ、金属は平滑な面に指紋が付着してしまいます。
特に、ヘアラインやバイブレーションといったステンレス鋼の意匠鋼板には指紋がつきやすくなります。
そこで、工場内でコーティングするプレコート鋼板やあと塗りするコーティングなど様々な商品が販売されています。
その耐指紋効果は薬品別ではありますが、ステンレス鋼の表面の状態によっては強靭な耐久性をしめします。
指紋への耐性が見て取れると思います。
ステンレスの指紋対策について、詳しく解説した記事がこちらになります。
耐指紋コーティング液 MaCOatーGC(マコート ジーシー)を使用することで、
傷や指紋が付きづらく、汚れも弾くようになるため水拭きや中性洗剤で簡単に落とすことができるようになります。
詳しくはこちら
MaCOatーGC(マコート ジーシー)施工動画
腐食防止
ステンレス鋼は錆びにくい金属ではありますが、環境次第によってはサビが発生し進行していきます。
特に、風雨により飛来するもらい錆は頻度が高く、表面を定期的に洗浄などのメンテナンスをしておかないとサビが発生してしまいます。
この錆を抑えるのもコーティングの役割です。
実際の効果を弊社の屋外暴露試験の状況からご説明します。
弊社は福岡県太宰府市で九州自動車道の太宰府インターに隣接しております。
福岡県は土地柄、大陸からPM2.5や黄砂が降ってきます。
また、高速道路脇であることから排気ガスによるSox、Noxにも晒される場所です。
ステンレスを研磨後にコーティング(MaCoat_GC)というガラスコーティングを行うかどうかで、
5年経過後には大きな錆の状況に変化を生じます。
コーティングを施していない部分には時間経過により錆が発生しています。
錆の保護のためには、しっかりとコーティングを施すことが重要です。
耐指紋コーティング剤 MaCoatーGC(マコート ジーシー)は耐食性向上にも効果があります。
耐指紋コーティング剤 MaCoatーGC(マコート ジーシー)について詳しくはこちら
MaCoatーGC(マコート ジーシー)施工動画
抗菌性・抗ウィルス性
最近の新型コロナウィルスをはじめ、過去に猛威を振るったO157など、様々な脅威があります。
そこで、食品を取り扱う場所へステンレスを利用する際は特に、食品への安全性を担保するため、
表面に抗菌・抗ウイルスの機能を持つコーティングを施すことがあります。
注意点として、効果の持続は使用環境次第であり、常に効果を確認することは難しいというところがあります。
そのため、ステンレス鋼そのものを抗菌性の性能を持つ綱種にするというのも一つの手段です。
抗菌ステンレス鋼であっても、意匠的な表現は可能です。
抗菌性デザイニングステンレスの効果について詳しくはこちら
抗菌性デザイニングステンレスの製品詳細はこちら
熱遮断
ステンレス鋼を高温のタンクや低温にした場合、チャンバーにジェケットをつけ、
構造的に熱遮断する方法と断熱材をコーティング(吹きつける)することでその性能を発揮することもあります。
ステンレス鋼へのコーティングについてのまとめ
今回の記事では、ステンレス鋼へのコーティングの事例を紹介いたしました。
いずれの加工においても、まずはステンレス綱種を用途用法、使用環境に適したものを選定し、
その後、性能・機能に合わせてコーティングを選択することが重要です。