チタンの特徴は 【軽い】【極めて錆びにくい】【高強度】【人体や環境にやさしい】が代表的に知られています。
そして、最大の特徴は塗装やメッキをしなくても美しい色合いを発現して、長期に渡り色褪せないことです。
もちろん、ステンレス鋼同様に意匠研磨加工により美しい表面を作り上げてそれも長持ちします。
それとは別に、一般的に【色つけ】と言われるカラーチタンについて、製造方法も踏まえてご紹介いたします。
カラーチタンの製法(色つけ方)
チタンの色つけ方法は以下のような方法があります。
1)大気発色(バーナー発色)
2)陽極酸化法
3)真空蒸着法
4)シルク印刷
5)塗装
※4)と5)は大きな意味合いでは【色つけ】ですが、ほぼ、文字やロゴを作製するときに使用する手法で、全体を塗装したり、シルクスクリーン印刷することは、極めて稀であります。では、色はなぜつくのでしょうか? カラーチタンの色についてご説明します。
チタンの色は酸化膜の厚さで変わる。
先ほど、説明した1)大気発色と2)陽極酸化法はどちらも、チタン表面に存在する酸化膜(不動態皮膜)を成長させることで、光の干渉効果を付加します。
その光の干渉効果によって虹色の色合いを発現することができるのです。
まさに、虹の現象やシャボン玉の虹色と同じ原理です。
虹の色合いが現れます。
シャボン玉のように、見る角度で色が変化します
チタンの蒸着は薄いチタンの膜
では、3)の蒸着とはなんでしょうか?
蒸着とは、チタンの表面に薄いチタンの粒子を真空中でお覆い、ガスと反応させることで色合いを発現させます。
大気発色や陽極酸化法のように、酸化膜を成長させるのではなくて、チタン表面をチタンで覆うのです。
金色に見えるのは、チタンと窒素が合体した窒化チタンという膜がチタンを覆っているからです。
この技術は特許を複数本取得していますので興味があれば是非ご覧ください。
また、技術的にはものづくり日本大賞をいただいております。
第5回「ものづくり日本大賞」優秀賞 【製造・生産プロセス部門 】
特許:
特許4418386号
チタンを塗装すると塗装の性能が優先される。
最後に、4)や5)は塗料という樹脂でチタン表面を覆うので、チタンでなくても同じ色になります。
これは、塗膜としての性能が表に出るので、チタンとは無関係になります。
カラーチタンの製法(大気発色)
大気発色とは、文字通り、この地球上でチタンを火で炙り、その熱によって、表面の酸化膜を成長させることです。
ですので、酸素がなくてはなりません。
つまり空気中で行うこととなります。
やり方としては、 「ひたすらバーナーで炙る」
もしくは、大気炉で加熱するこれだけです。
実際にどのように見えるかというと、
このQRコードはチタン製です。
青や紫などの色合いは大気発色で作製しています。
カラーチタンの製法(陽極酸化法)
チタンの発色方法で国内で一番多く使われている製法が陽極酸化法です。
チタンを電解液の中に入れて電気をかけていくことで、チタン表面の酸化膜を成長させます。
その膜の厚みにより、チタンの色合いが虹のように変化するのです。
カラーチタンの製法(蒸着法)
この方法は、工具などの機能部品や時計、メガネなどの装飾品に多くつか割れる仕上げです。
一般的には、真空蒸着、イオンプレーティング、チタンメッキ、チタンナイトライドなど色々な呼ばれ方をしますが、要は蒸着です。
>>チタンを活用した長期耐久性機能表現 ~持続的社会を目指して~
カラーチタンの製法(塗装・シルク印刷)
これは、チタン表面に塗装やシルク印刷で文字や色を配置する方法です。
この手法では、鮮やかな色合いにはなりますが、下地をチタンにする必要性が薄れます。
この塗装法の場合は塗膜の性能が性能を決めるからです。
チタンの色つけ、カラーチタンのまとめ
チタンを用いた商品は、アクセサリーからカテラリーなど様々です。
身近にも数多くのカラーチタン商品があると思います。
また、街中でもカラーチタンを使用した建物も増えてまいりました。
ぜひ、カラーチタンを発見したときにこのコラムを思い出してくれたら幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。