チタン屋根の概要
日本は古来から瓦葺の屋根や檜皮葺きの屋根、銅板の屋根など多種多様な環境に合わせて屋根の素材が使われてきました。
近年では、塗装鋼板の屋根やステンレス製の屋根素材も増えてきております。
ところが、陶器の瓦も金属製の屋根素材も非常に重量が重たくなります。
銅やステンレス鋼、塗装鋼板の比重は8㎤であるため非常に重鋳物です。
屋根が重いことで建物を上から抑えるという意味では利点もありますが、地震対策の面からは不利となります。
また、銅板の屋根や塗装鋼板の屋根は腐食という問題があります。
錆や酸化がすすと穴が開いてしまう恐れがあり、定期的なメンテナンスが必要となります。
そこで、錆に強く、軽量で比強度の強いチタン屋根が近年普及しております。
チタン屋根は塗装鋼板や同に比べて非常に軽量です。
そして、海水への絶対耐性がり、海際での使用も問題ありません。
されらに、比強度が強いことで同じ板厚でも高い強度を得ることが可能です。
チタンの屋根は、これからの少子高齢化の日本において長期耐久性というメンテナンス期間を大幅に伸ばせる屋根素材です。
チタン屋根の特徴
それでは、チタン屋根の特徴についてまとめていきます。
1:美しい表情(優れた意匠性)
チタンは塗装やメッキを行わなくても錆びて朽ちることが極めて少ない金属です。
つまり、表面にさまざまな意匠的な仕上げを行うことが可能です。
例えば、瓦のように見せたい場合にはアルミナブラストを行います、それによりいぶし瓦の風合いにも似た表情となります。
さらに、謡曲酸化法を用いることで、チタンが本来もつ不動態膜と言う酸化膜をコントロールすることで虹のような干渉幕を発現させることができます。
それにより、緑錆銅板のような風合いも与えることができます。
最後に、イオンプレーティング方により黄金色とすることで、金箔張の屋根のような意匠を作り上げることができます。 耐久性の高い黄金の屋根は荘厳な印象を与えます。
商業店舗においては、ステンレス鋼と同様にヘアライン、バイブレーション、ショットブラスト、鏡面など、お馴染みの意匠を作ることが可能です。
耐久性の高い選択肢として検討されることも増えてまいりました。
2:加工がしやすい
チタンというと硬くて曲がらないとか言われることがありますが、全くそんなことはありません。
屋根板金で使用する0.3mmのチタンでは、手で曲げることもできますし、金切り鋏で切断することも可能です。
また、ロールフォーミングやベンダーでの加工も鋼同様に行うことが可能な金属です。
3:溶接が容易
チタンは溶接が難しいと言われておりますが、これは溶接時の酸化の抑制という技術面を指すことが多いです。
他の金属と比較して溶接部位の酸化による強度低下は確かに難しい面があります。
しかし、裏を返せば酸化さえ抑制できれば簡便に溶接が可能です。
アルゴンシールドで酸素を遮断すれば鋼同様の溶接が可能です。
また、Tig溶接、YA Gレーザー油説など最新の溶接機も対応しており、高品位な溶接が可能となっております。
4:半永久的に腐食しない
海水への絶対耐性がありますので、潮風や酸性雨にも腐食しない性能を持っています。
過酷な環境下で耐えうる性能は日本国内のあらゆる環境でその性能を発揮します。
それにより、メンテナンス期間、改修期間を大幅に伸ばすことが可能となります。
5:環境にやさしい、人体にやさしい
チタンは生体適合性が非常に高い金属です。
それゆえに人の体内に使用する人工関節やインプラントに使用されます。
その理由は金属イオンの溶出が少ないためです。
金属イオンが溶出しないことで有害物を排出せず、人にも環境にもやさしい金属であると言われる所以です。
チタン加工に関する技術情報
1:チタンを活用した長期耐久性機能表現 ~持続的社会を目指して
チタン屋根の事例
チタン屋根は伝統建築を中心に多くの実績があります。
浅草寺をはじめ増上寺様など有名なお寺や寺院に数多く採用されています。
それは、前述している優れた特性と地球に優しく持続的可能な社会の実現に貢献しているためです。
弊社の手がけた伝統建築関連のチタン屋根・金物の事例をいくつかご紹介します。
以下をご覧ください。
チタン屋根のまとめ
日本は少子高齢化の時代を迎えます。
また、地震が非常に多い国です。
建物を守る重要な屋根は、長期耐久性があり、軽量で、強く何世代にも渡って建物を強固に守る必要があります。
また、資源を有効に活用することが必要となる社会です。
比強度の強いチタンは薄肉化が図れ、使用量を減らすことが可能となります。
未来の日本の屋根を守るチタン屋根。
世界の建物を守るチタン屋根に是非、ご期待ください。