一般的なステンレス鋼は鉄、クロム、ニッケルが混じり合った鋼で、基本的にはシルバーのものです。
しかし、ステンレスはシルバーだけでなく塗装や化学発色などを行うことで色を付けることができます。
色がついたステンレスのことを「カラーステンレス」と呼びますが、どのような着色方法があり、表面の見え方や着色方法にはどのような特徴があるのか、今回のコラム記事にて解説していきます。
ステンレスは表面に不動態皮膜という錆に強い酸化膜が存在します。 その酸化膜の効果で腐食に対する耐性があり、それゆえにステンレス鋼(錆びにくいはがね)と呼ばれます。
以下に詳細のカラーステンレス製造方法についてご紹介していきますが、最初はクリア塗装から始まり、バブル期には最初の化学発色が誕生しました。
この化学発色はヨーロッパの技術です。故に、ヨーロッパの化学発色ステンレスの色合いはとてもクリアで美しい色合いです。
さすが元祖というところでしょうか!
その後、真空蒸着という現在のカラーステンレスの最先端製造方法へと続いていきます。
化学発色は表面の不動態皮膜である酸化膜の厚みをコントロールすることで多彩なカラーバリエーションを表現します。
真空蒸着によるカラーステンレスは、表面に金属セラミックスを蒸着していくのですが、基本はガスと金属の融合による色合いとなります。
この技術は、車への用途では樹脂に真空蒸着してライトや内装部品に使用されています。
これらのカラーステンレスですが、看板・サインに用いられることも多く、表面に様々なテクスチャーをエッチングや研削で掘り込み多彩な模様を形成することが可能です。
それ故に、意匠性の高いステンレス鋼として、商業店舗、オフイスビルやホテルに使用されています。
用途によって選択の幅が広がるカラーステンレス。ぜひコラム記事をご一読いただき、気になった方はお気軽にご相談、お問い合わせください。
ステンレスの着色について
皆様ご存じのとおり、一般的なステンレス鋼は鉄、クロム、ニッケルが混じり合った鋼です。
つまり、ステンレスの色合いは基本的にシルバーです。
では、色のついたステンレスについて聞いたことがあるでしょうか?
一般的にはカラーステンレスと呼ばれます。
今回のコラムでは、この銀色のステンレスをどうやって色のついたステンレスにしているかの方法を中心にご説明します。
ステンレスへの着色方法について
一般的にすぐ思いつく着色方法が塗装です。
ステンレスに塗装をすることで色がつきます。
クリア塗装という薄い透明な塗料に色をちょっと加えて塗装するとステンレスの下地を活かしたカラーステンレスができます。
塗装は基本的に「着色」と呼ばれます。
次は、ステンレス鋼の表面に元々存在する不動態皮膜の厚みをコントロールして、まるで虹のように光を屈折させることで色合いを発現させる方法です。
この不動態皮膜をコントロールする方法は二つあり、化学発色と電解発色です。
これらの光干渉膜による色の発現を「発色」と呼びます。
最後に、ステンレス鋼の表面に金属セラミックスでコーティングする方法です。
これは、製法的には似てますが主流は2種類のPVD方式が使われています。
次項から各カラーステンレス製造方法についてご説明します。
カラーステンレスの製造方法
塗装
塗装は、最もポピュラーなカラーステンレス製造方法です。
着色ステンレスですが、一般的には塗装ステンレスと呼ばれます。
こちらの着色ステンレス(塗装ステンレス)は、ステンレスメーカーのコイル状の設備で大量に製造することが可能です。
様々な塗膜の種類により、耐久性が高まります。特に屋根材などでは抜群の性能と、カラーバリエーションによる景観意匠を提供できます。
塗装ステンレスの種類。
上記は塗装のイメージです。塗装ステンレスの一般的な製造方法は、ステンレスメーカーでステンレスコイルを製造後、そのステンレスコイルへ塗装していきます。機械設備で製造しているので安定した品質が確保できる仕上げです。
また、コイルで作れないものは後塗装で製造されます。
その場合は、様々な塗装方法があり、密着性や耐久性の高い塗装方法もあります。
化学発色
化学発色は、塗装以外のカラーステンレス製造方法で一番歴史の長いカラーステンレス製造方法です。
特殊な化学発色液の中にステンレス鋼をつけ込むことで表面の不動態皮膜が成長し、光干渉膜の効果で色合いが発現します。
こちらの写真は発色ステンレスです。
化学発色で美しい虹色の色合いを発色させたステンレス鋼
→ オロル株式会社(https://ororu-inc.co.jp/)
先程のものを角度を変えてみると
オロル株式会社(https://ororu-inc.co.jp/)
このように、みる角度で色合いが変わるのが、光干渉膜を応用したカラーステンレスの特徴です。
上記は化学発色の製造方法のイメージにはなりますが、このような化学発色液の中にステンレス鋼を浸漬させ、不動態皮膜を成長させます。
水の上に浮いた油やシャボン玉を想像してください。
その色合いの発現がこのカラーステンレスの発色原理となります。
弊社でも、この化学発色を利用したカラーステンレス意匠材を製造しています。
こちらは、水面ステンレスパネルです。
こちらのカラーステンレス意匠材について気になった方は、ぜひ当社までご相談、お問い合わせください。
ネイビーブルーなミステリアスステンレス
電解発色
電解発色は、電気の力を用いて発色する手法となります。
ステンレス鋼ではこの手法を用いた黒色の発色が有名ですが、チタンの発色にもこの電解発色が用いられます。
チタンの電解発色の事例として、虹色の見え方は化学発色と同様ですが、素材によって発色方法を選択しなければなりません。
この様な形で電気をかけることで、電解液中で反応し、不動態皮膜が成長することで、虹色の表面を得ることが可能となります。
PVD(物理的蒸着法)
最後は、真空装置を用いてステンレス鋼の表面に金属セラミックスの薄膜を形成する方法です。
これはこれまでの塗装や化学発色、電解発色と異なり、金属下地を活かしながら強靭な金属セラミックスを表面に形成するものです。
広く使われている技術で、工具の刃先のコーティングから、装飾品(時計やメガネなど)など多岐に渡ります。
この方式には二つの手法があり、イオンプレーティング法とスパッタリング法があります。
それぞれの方式でもさらに細分化しているので、それぞれのメーカーで独自の体積技術を蓄積している製法です。
左がイオンプレーティング法で、電気の力でイオン化した金属の塊を金属表面に叩きつけます。
右はスパッタリング法でアルゴンというガスを活性化させ、それを金属材料に叩きつけ、そこで跳ね返ったターゲットのイオンが金属表面に降り積もるという堆積方法です。
例えば黄金の色合いを蒸着すると黄金色に輝くステンレスが生まれます。
黄金色のステンレスについては以下を参照いただければ幸いです。
また、弊社のイオンプレーティング技術はチタンで本領を発揮します。
日本製鉄様と開発したIPゴールドチタンは過酷な環境でも荘厳な外観と性能を維持します。
もっと詳しくお知りになりたい方は、下記コラム記事にて事例も合わせて
ご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
まとめ
ステンレス表面仕上げの一つであるカラーステンレスの製造方法を簡単に説明いたしました。
金属本来の色合いとそれに意匠的付加価値を与えるカラー。
用途によって選択の幅が広がります。
意匠研磨加工によるテクスチャーを残しつつ、艶めく色合いを与えることのできる化学発色はあたらしい空間づくりの創造に貢献できると思います。
どうぞよろしくお願いします。
<材用販売・ガラスコーティング液販売>
東洋ステンレス研磨工業株式会社 販売部門
トップマコート株式会社