ステンレス表面仕上げには、様々な種類があります。
表面仕上げの種類によって、ステンレス表面の光沢や、用途など特徴が異なっていきます。
今回は、ステンレスメーカーの製造するステンレスの表面仕上げについて7つご紹介いたします。
当社の製品事例を見ることができるコラム記事も合わせてご紹介しておりますので、ぜひご一読ください。
ステンレス表面仕上げについて
ステンレス鋼は最初、ホットコイルという熱感圧延材の肌で生まれます。
その後、冷間圧延を経て、様々な表面仕上げを施して市場へ提供されていきます。
よく見かける、ヘアライン、#400、バイブレーション、鏡面など、ステンレスの代表のような仕上げはよくご存知かと思います。
では、ステンレスメーカーから出てくる表面仕上げとはどのようなものがあるかご紹介します。
ほぼ、ステンレス表面仕上げサンプル帳というものが手に入るのはこのステンレスメーカーの製造した表面仕上げサンプル帳です。
では、どんな表面仕上げをステンレスメーカーは製造しているのでしょうか?
左のステンレス表面仕上げから No.2B仕上げ BA仕上げ No.2D仕上げ No.4仕上げ No.8仕上げ HL仕上げとなります。
このように、世の中で多くみられるステンレスの表面仕上げはステンレスメーカーで製造され市場へ提供されています。
また、これらの表面仕上げを施したステンレスは家具やサッシ、建具、壁面、キッチンなど様々な汎用的な商品に使用されています。
では、市場の研磨メーカーは何をしているのかというと、ステンレスメーカーで製造できない板厚や幅、サイズのステンレスを基本的に研磨します。 もしくは、ステンレスメーカーとは違う意匠や機能を持った意匠ステンレス鋼板を製造しています。
バイブレーションなどは現在、コイルで製造できないので各研磨メーカーで製造しています。 意匠性を重視するヘアラインや特殊な用途の#400バフ研磨も同様です。
最近では、特殊な鋼種の意匠性や機能性を持たせた研磨加工が増加する傾向にあります。
さて、ステンレスメーカーの製造する表面仕上げを一つ一つご説明します。
No.2B仕上げ
まず1つ目にご紹介するステンレスの表面仕上げは、No.2B仕上げです。
No.2Bは冷間圧延の酸洗材です。
市場では、わざわざNo.2Bと言わずに、2B(ツービー)と呼ばれます。
子供たちや一般の方は、鉛筆やシャープペンシルの方が馴染みがあるようで、このツービーのことをニービーという方もおられますが、基本ツービーです。
こちらの表面仕上げについて、ステンレスメーカーの説明によると
「冷間圧延後、熱処理と酸洗又はこれに準ずる処理を行い。さらに適当な光沢を得る程度の軽い冷間圧延を施した仕上げです。
本仕上げは、薄い他ステンレス鋼では、最もポピュラーな仕上げで広い用途に使用されています。」
とあります。
確かに、ほぼ大半のステンレス意匠研磨加工にはこのNo.2Bが使用されています。
こちらの仕上げは、非常に使いやすいステンレス表面仕上げです。
BA仕上げ
2つ目にご紹介するステンレスの表面仕上げは、BA仕上げです。
BA仕上げは光輝焼鈍材です。
こちらは写り込みの良いステンレス表面仕上げなので、このままカバーやダクト、厨房機器類などに使用されることもあります。
また、その他の用途として、光沢の必要な研磨加工母材としても多く使用されています。
後述する、No..8仕上げはこのBAが母材となっています。
こちらの表面仕上げについて、ステンレスメーカーの説明によると
「冷間圧延後、特殊な雰囲気中で光輝熱彫を行い、さらに光沢を上げるため冷間圧延を施した表面光沢の優れたステンレス表面仕上げです」
とあります。
BA仕上げのステンレスはこのまま、自動車部品や家電製品、厨房機器、装飾用品に使用されていますが、さらに光沢グレードが必要な折には、このBAを母材として、様々な意匠研磨加工が施されていきます。
No.2D仕上げ
3つ目にご紹介するステンレスの表面仕上げは、No.2D仕上げです。
No.2D仕上げは一般的にはダル仕上げと呼ばれます。
こちらの仕上げは、あまり意匠部品には使用されないもので、絞り加工やプレス加工などに使用されるステンレス表面仕上げです。
No.2D仕上げという呼び方も、ナンバーツーデーと言わず、ツーデーやツーダーという呼び方を一般的にはしています。
こちらの表面仕上げについて、ステンレスメーカーの説明によると
「冷間圧延後、熱処理と酸洗又はこれに準ずる処理を行lつたもの(艶消しロールによって最後に軽く冷間圧延したものを含める)で銀白色のにぶい光沢を持った仕上げです。
本仕上げは、強い光沢を好まない用途や深絞り用途に使用されています。」
とあります。
ほぼ、絞り加工などのプレス用途が多いと思われますが、一部屋根材料でも使用されていると思われます。
No.4仕上げ
4つ目にご紹介するステンレスの表面仕上げは、No.4仕上げです。
No.4仕上げは一般的には厨房機器類によく使用される仕上げです。
この仕上げは直接ステンレスメーカーから機器製造メーカーへ流れる事の多い商品カテゴリーなので、一般的には市場にあまり流通してません。
また、こちらの仕上げは、板厚が薄いものが多い傾向にあるので汎用ステンレス鋼のスタンダードな板厚である、1.5mmを探すことが一苦労します。
さらに、用途としては厨房用がメインなためフェライト系のSUS430が主流です。 よってSUS304系で探すのも少し苦労します。
こちらの表面仕上げの呼び方はナンバーフォーという呼び方を一般的にはしています。
こちらの表面仕上げについて、ステンレスメーカーの説明によると
「No.2DもしくはNo.2B仕上げのものを最終的に#150〜#180メッシュの研磨剤を塗布したベルトを用い、一様に研磨したもので、柔らかな銀白色の表面を保った仕上げです。
本仕上げは、厨房設備、建材、医療器具、車両などに使用されています。」
とあります。
No.4仕上げについては、修正研磨加工も少し面倒であるので、溶接物にはあまり使用されません。
また、市中で製造できる研磨メーカーが少ないので市中からの流通も少量となっています。
No.8仕上げ
5つ目にご紹介するステンレスの表面仕上げは、No.8仕上げです。
No.8仕上げは最もポピュラーな鏡面研磨仕上げステンレスです。
前述しているBA母材からの艶出し研磨で製造する非常に汎用性の優れた商品です。
こちらの表面仕上げについて、ステンレスメーカーの説明は、現在の市場流通製法と少し違うので誤解のないように記載を控えます。
また、鏡面ステンレスについての詳しい記事は以下のものがありますので、そちらをご参照願えればと思います。
当社の活用事例もご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
ヘアライン仕上げ
6つ目にご紹介するステンレスの表面仕上げは、ヘアライン仕上げです。
ヘアライン仕上げは最も多くの場所や用途で使用されているステンレス表面仕上げ材です。
用途としては、エスカレーターからキッチン、家具、手摺など、おそらく磨き材と言われる#400バフ研磨ステンレス仕上げと同じくらいよく目にするものです。
これは本当に幅広く作られています。
一番多いのはステンレスメーカーの作る商品ですが、エアラインは自由度の高い研磨方法なので、研磨眼の濃ゆさや深さ、そして、特殊鋼種や特殊な形状や板厚で多くのヘアラン仕上げのステンレスが作られております。
こちらの表面仕上げについて、ステンレスメーカーの説明によると
「No. 4仕上げのものをさらに#150〜#200メッシュの研磨剤を塗布したベルトを用い、一方向に連続した砥粒線を持った仕上げです。
銀白色にラインのシンプルな美しさを表現した特殊研磨品です。
本仕上げは、建材の最も一般的な仕上げで他に厨房設備、家電製品などに使用されています。」
とあります。
修正研磨加工が極めて簡便であるために多くの用途で使用されています。
ヘアライン仕上げ商品については、以下のコラムで詳しくご説明しております。合わせて、製品事例もご覧いただけますので、ぜひご一読ください。
エンボス仕上げ
最後に補足的なステンレス表面仕上げ商品をご紹介します。
よくキッチンの天板やお風呂などの水回りに使用されているのをみたことがあるかと思いますが、細かい凹凸のついたステンレス衣装仕上げ商品があります。
これは、エンボスステンレス仕上げといって、ステンレスメーカーでつくられるものです。
今模様を増やすには莫大な金型費が必要なので、今ある模様から選ぶというのが現実的なステンレス表面仕上げ商品です。
こちらの表面仕上げについて、ステンレスメーカーの説明によると
「ステンレス鋼板の表面に凹凸の模様をつけたロールで圧延した意匠鋼板です。」
とあります。
この市松模様は伝統のある仕上げだそうで、用途としては、厨房機器の流し台などに古くから使われている様です。
まとめ
ステンレス表面仕上げは多岐にわたっており、市中から手に入るのか、ステンレスメーカーへ特別に注文入れる必要があるかなど一般的には分かりにくい分野です。
そして、それぞれのステンレス表面仕上げはどの様なものがあって、それをどこに使うかなど今回はご説明しました。
まだまだ、ボリュームのある説明分野ですが、今回のコラムでは、ステンレスメーカーの提供するスタンダードなステンレス表面仕上げ商品についてご紹介いたしました。
次は、もっと深いところまでご説明していきたいと思います。
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