金属パネルの突合せについて
金属パネルを取り付ける際ですが、通常は目地が発生します。
以前のコラム(3D意匠ステンレスパネルの天井・壁の取り付け構造の説明)でもご紹介した通り、普通は目地をとりビスで取り付け、ビス目地部分をコーキングします。
そうすると、見た目的に目地が見えてしまうので、デザイン的にその目地をなくしたいという要望があります。
そこで突合せを行い、目地部分をなくすような仕上げを行う事があります。
背面に工夫が必要で且つ、熱膨張などの変形も考慮しないといけないため複雑になります。 一般的には曲げパネルをつき合わせて配置するケースが多いです。
曲げパネルの突合せで問題となるのが、【角R】です。
曲げ加工を行うとどうしても曲げた部分にR形状が出来ます。
普通曲げの場合
一般的には【板厚×2】のRが生まれます。
例えば
板厚1.0mmの場合 1.0㎜☓2=2R
板厚2.0mmの場合 2.0㎜☓2=4Rとなります。
板厚が厚くなるとどんどんRが大きくなります。
そこで、内側に溝を入れて曲げる事で曲げ部分の板厚を薄くしてRが大きくならないように抑える曲げ加工方法もあります。
一般的には、プレーナー曲げやシカル曲げなどと呼ばれています。
これは0.6mmのチタンを普通に曲げた時のRです。
曲げパネルの突合せの場合、両方に曲げRが発生するのでどうしても隙間が出てしまいます。
フラットカットパネル型の突合せについて
それでは、曲げ加工をせずにカットパネルという板形状での付きわせの場合はどうなるでしょうか?
曲げていないので切断口は基本的に直角です。
これらの工法によく使われるのはアルミのカットパネルという5mmくらいの材料になります。
このコラムでは、【薄型カットパネル】での事例を紹介します。
良くある貼り合わせ工法です。
チタンやステンレスの場合、母材価格が【重量☓単価】となりますので、薄くすればするほどコストメリットが出てきます。
ただし、反面薄さゆえの強度不足や形状不良が付きまといます。
最近では、非常に性能の高い接着剤や両面テープの商品があり、溶接に匹敵する強度を誇る商品もあります。
また、溶接や曲げというと工場内での作業となり、現地で作業する事はとても難しいですが、この工法であれば、既設の機器類や什器、壁、天井などに施工が可能となります。
あらかじめ採寸した寸法で切断し、カット面の処理を行ったものを入手する事で、比較的簡便に施工する事が可能となります。
突き合わせた面はこのように薄筋状のラインが出ます。
遠くから見るとこのようにあまり目立たなくなります。
3Dカットパネル型の突合せについて
最近、施工事例の多い3Dステンレス(水面金属パネル)のカットパネルの突合せについてご紹介します。
カットパネルの良いところは、複雑な形状でも突合せが出来る事です。
自由曲線の描画や鋭角な入り組んだ形状でも形作り施工する事が出来ます。
これは、円形の自由曲線部分とストレート部分の合わせを見るための想定モックアップです。
突きわせてみました。
水面ステンレスの突き合わせ部分のラインです。
角度を変えてみた突き合わせ部分のライン。
遠くから見た水面金属の突合せライン(斜め視点)
遠くから見た水面金属の突合せライン(正面視点)
直線部分突合せライン(見下ろし)
直線部分突合せライン(斜め視線)
実際には背面でしっかり固定しますので、これ以上のクオリティーになろうかと思います。
チタン製薄型カットパネル施工事例
それでは、チタン製薄型カットパネルを施工いただいた事例をご紹介します。
愛知県江南市の永正寺様 永大供養集合墓シンボルモニュメント壁面に薄型チタンカットパネルにて施工いただきました。 商品は【チタンラグ シルバー】です。
背面からスタッドボルトで固定して施工いただきました。
壁面の白銀色のチタンが薄型カットパネルです。
6分割構成となっています。
遠目からでは継ぎ目は見えにくくなっています。
近づくとパネルの境界線が確認できます。
まとめ
金属パネルの施工方法や加工方法は様々な工法から選択できます。
特に近年のデザイン性の高い表現が必要な場合は、薄型カットパネルで自由形状を形成したもので表現する事で、自然な空間が表現できます。
また、曲げ加工と比較して、背面の取り付け構造部分が簡便となり、重量が軽くなる事は薄型カットパネルのメリットです。
四角のパネルの連続ではなく、皆様の思い描いた形状で表現する空間は、この様な薄型カットパネルの得意とするところです。
是非、ご検討宜しくお願い致します。