ステンレスミラーとは文字通り、ステンレス鋼を鏡のように磨き上げたものです。ステンレスを鏡面加工することで、鏡同様の反射率を実現するとともに、ステンレスの特徴である「割れない」「錆びない」といった、割れる危険性がある場所でもよく利用されます。
そこで今回はステンレスミラーについて、「ステンレスミラーとは」「ステンレスミラーの作り方」「メリット・デメリット」、さらには実際の写真を用いながらご説明させて解説いたします。
ステンレスミラーとは
ガラスの鏡は透明ガラスの背面に銀などを蒸着して鏡としての使用されますが、これが厳密には銀蒸着面で反射しているので背面反射となります。なので、ガラスの厚みわずかに本来の画像と異なります。対して、ステンレスミラーは全面反射です。
鏡のように磨き上げた面がそのまま反射するので実際の画像に近いのですが、難点は、材料のうねりにより凹凸が出て、わずかに歪みます。従って、ハイエンドな美容室などはガラスの鏡。スポーツ用途や公共での用途で割れてはいけないところにはステンレスミラーが使用されます。
ステンレスミラーの作り方
ステンレスミラーはいくつかグレードがありますが、建材用の場合ステンレス鋼BA母材という材料から艶出し研磨No.8を行い使用する事が一般的です。
この、No,8は建材の壁や天井などには適しておりますが、サインや鏡として使用する場合には解像度が満足いくものではないことと、2.0mmまでの薄物しか製造できないため、ゴージャスな鏡面切り文字サインや壁面姿見、鏡の用途にはステンレス鋼NO.2Bという酸洗母材から検査策工程を経て作られる#800や#1000が使用されます。
ステンレスミラーの平面表現
ステンレスミラーといえばやはり鏡のように使用するのが一番多い表現です。1980年代-1990年初頭のバブル経済の折には、建物にたくさんのステンレスミラーが使われていて華やかな様相でした。
最近は、建物の外装に鏡面の平面パネルを使用すると近隣への反射公害を言われることがあるので、うっすらと曇らせたりスクラッチをほどこして反射率を下げたデザインが使用されることの方が多いです。
例 : MAKO Fine mist )
ステンレスミラーの3D表現
また、最近の傾向としては、光の反射を拡散させ、室内照明との相乗効果を得るような3Dステンレスミラーでの表現も増えております。自由自在なステンレス3D表現で、これまでにない空間表現が可能となります。
建物や店舗に合わせ特殊にカスタマイズできることも大きな特徴です。取付構造にもよりますが、木材との複合化で軽量化の実現例も多数ございます。
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ステンレスミラーのメリット・デメリット
ステンレスミラーの表現についてご紹介してまいりましたが、ステンレスミラーの性能上のメリット/デメリットについてご紹介します。
メリット
1,割れない
2,大型化が容易であり、板厚構成によっては軽量化が図れる。
汎用材料でも Φ1.5mの円形鏡は製作可能です。
汎用材であれば 1.5m×6mのステンレスミラーも製造可能です。
3.スポーツなどの姿見には割れないので安全安心です。
4.切断加工が容易
ステンレスミラーはレーザー加工を用いる事であらゆる形状に加工が容易です。
花型、星型、雲型、自由曲線、カード形状等など簡単に加工できます。
ステンレスミラーの手鏡などは割れないので適しますが、傷注意です。
切断口(エッジ)の処理も容易なので怪我をすること無く滑らかに仕上が容易です。
5.溶接加工で複雑な形状に加工が容易
ガラスの鏡と違いステンレスミラーは溶接による接合であらゆる形状に自由自在に加工が出来ます。
箱型や円錐型など様々な形状に加工が容易です。
デメリット
1.ガラスの鏡に比べてステンレスそのものの材料歪みにより画像が歪みます。
2.ガラスの鏡も傷が入りますが反射面は最下層部の蒸着なので傷が目立ちにくいのと、最近では強化ガラスなどの高強度ガラスもあり傷が入りにくくなっています。 それに対してステンレスミラーは母材表面の全面反射なので傷が入りやすいです。
3.反射率はガラスの鏡の方が優れています。
4.価格はガラスのグレードにもよりますが、大型化するほどステンレスミラーが有利になります。
5.ステンレスミラーは浴室には不向きです。
水に含まれるカルシウムがステンレスミラー表面に付着して水垢が付き目立ちます。
ガラスの鏡も同様に水垢が付きますが、背面反射なので影響は少ないです。
ステンレスミラーと芸術家
鏡はものを映しこみ古くから呪術などにも用いられる神秘的な魅力を秘めています。
心を映す鏡、時代を映す鏡。。。。
いろいろな呼び方で鏡は持ちられます。
ステンレスミラーは自由な形状を形成できます。
芸術家のイメージ、感性、世界をステンレスミラーで表現頂きました。
芸術家 杉田 廣貴様の作品
彫刻家 森貴也様の作品
最後に
ステンレスミラーは自由度の高さが魅力です。
今回ご紹介できていませんが、ステンレスミラーへクリア塗装を行う事でさらに幻想的な表現が可能となります。 形状の自由度、折り曲げ、湾曲等 ステンレスミラーを用いて新たな空間を創造いただけたら幸いです。
風景を映しこみ、自らの意匠表現と他者からの映り込みの交差が織りなす表現。光の反射や映しこみ、そしてステンレスミラー自身の形状表現。
まだまだ、やりつくしていないステンレスミラー。
皆様のインスピレーションで羽ばたかせて下さい。