私たちが手掛けるデザイニングメタルの数々は、実際に商品化され使用されるの意匠は氷山の一角です。
実際には、多くの試作品が生まれ、商品化されずに埋もれているものがほとんどです。
その制作・開発過程も様々なケースがあり、私たちの中で生まれるイメージを具現化したものもあれば、ご依頼主(建築家・デザイナーやアーティスト)の皆様のイメージを具現化するものもあります。
今回はオーダーメイドで創出するデザイニングメタルの試作品を初公開します。
これらの試作品が皆様の発想にお役に立てば幸いに存じます。
では、ご紹介します。
ザ・テンペスト
渦巻舞い上がる竜巻 荒れ狂う嵐を表現した嵐・竜巻のようなデザイニングステンレス
うねり、渦巻く印象を表現してますが、これはまだ未完成です。
本来は、この渦に合わせて意匠研磨加工を組み合わせる予定だったのですが、コンセプトが嵐という天災なので、あまり重要が見込めず、設計段階で中断しています。
いつか、別の惑星で見られるような気象環境をデザインに取り入れて空間を創造いただく際に開発を進められたらと思っています。
さざなみ(SAZANAMI)
水面ステンレスパネルシリーズの一つのバリエーションとして設計。
商品化されたripplsは、みなもが揺れ動く様を表現しているのに対して、このさざなみは風に揺られて波打つさまを表現しています。
(水面デザイニングステンレスシリーズ)
揺れ動く様は良かったのですが、製造上の問題点と、テクスチャーが均質すぎる事から、さざなみの表現は、その後 商品化された【JEUX D’EAU(ジュ・ドー)】へと引き継がれ、このさざなみはプロトタイプとして開発が中断しています。
商品リンク : JEUX D’EAU(ジュ・ドー) https://www.mako-metal.com/series/judo
さざなみの開発時に得た技術情報はジュ・ドーへ引き継がれましたが、さざなみステンレスパネルのテクスチャーは魚のように見える事から、次回、魚の回遊(イワシの回遊)等で、海の中の神秘的な情景をオマージュした空間表現に携わるチャンスんがあれば、この試作品をベースに改良してご提案できたらと思っています。
夕日に照らされ反射する試作品
試作品が屋外で使用された場合を想定し、夕日による反射や映り込みの検証などもシーンに合わせて行っています。
黄金の畳~デザイニングメタルでオマージュ表現~
黄金の畳をデザイニングメタルで表現するという試みを行ったことがあります。
一つは壁面・床・天井などの内装材料。 もう一つは什器等の説にに使用する被覆材料。
各用途に応じてデザイニングメタルの材質を変更して試作品を開発しました。
上の二枚が床面・壁面・天井向けのチタンを用いた黄金の畳。
下の一枚が什器を被覆するステンレスメッシュの黄金の畳。
床面材は非常に耐久性が必要です。
そこで、チタン材料をベースに研磨加工・IPゴールデンチタン加工を施し、耐傷つき性や、耐摩耗性を向上させています。
この開発試作品は、実際には店舗内で使用されることはありませんでした。
予算が莫大になり過ぎて計画変更となっています。
当時は意匠材料としての板材でしか提案できなかった為、形状加工面や構造面で提案できなかったのが悔やまれます。
現在は、加工技術も保有しておりますので、様々な提案が可能です。
この黄金のチタン畳は、実使用はされておりませんが、各種展示会などでは床材として提案展示しております。
一方、什器等の被覆材は柔軟に形状に追従する必要があります。
そこで、黄金のステンレスメッシュ畳を試作開発おこないました。
非常に細かいステンレスメッシュに黄金の畳意匠加工をしています。 太陽光などに当たるととてもきれいに反射します。
柔らかく、様々な面に追従する特性があります。 もちろん曲げても黄金色は割れたり剥がれたりしません。
左側に角型のガラス材に被覆した、黄金のステンレスメッシュ畳
いかがでしたでしょうか? 今回の試作品は約3年位前の物です。
まだまだ、世の中に登場する事を心待ちにしている試作品たちが数多くいます。
次の機会にまたご紹介いたします。