チタン建材の特徴として、「軽量」「丈夫」「耐久性がある」ことが挙げられます。また、純チタンは比較的柔らかいため多彩な加工が実現できる建材の1つでもあります。
チタンはこのような特徴を活かし、長期耐久性建築の屋根や金具、内装用途として用いられています。
現在SDGsでも「住み続けられるまちづくり」という目標がありますが、長期耐久性のあるチタンは今後の持続的社会の実現のためにも活躍していく建材の1つであると言えます。
今回は、このような特徴を持つチタンを活用した長期耐久性機能表現について、いくつかの事例を踏まえて解説していきます。
チタン建材の特徴
チタン建材の特徴として、以下が代表的なものになります。
①抜群の耐候性(特に海際の塩害地域)
②軽量
チタンの比重は4.51でステンレス鋼や鉄の約比重8の材料に比べて、半分強の重さとなり、軽量です。
③比強度が強い
鉄の2倍 アルミニウムの3倍の比強度です。
④膨張しにくい
熱膨張係数が小さく熱による寸法変化が少ない。
ステンレス鋼の1/2 アルミニウムの1/3
⑤人体に優しい
金属イオンの溶出がないので人体にとてもやさしい金属です
⑥冷たさを感じにくい
体積比熱と言う値が鉄やステンレスの60%です。
少しの熱で温まるので、触ったところが冷たく感じにくくなります
このような特徴を持ったチタン建材ですが、世界的に有名なのは皆様ご存知のグッゲンハイム美術館です。
チタン建材の価格
チタン建材を検討する上で、やはり一番に気になる部分は金額ではないでしょうか?
単純に素材比較をすると同じ重量においては、チタンの価格はステンレス鋼の10倍以上の価格水準となります。
そこでこの数値だけを見て高くて使えない。。。となることがあるのですが、
実は前述の重量が約半分強、そして比強度が高いので材料の厚みを薄くすることが可能であると言う点です。
薄く作り上げていくことで現実味のある施工が可能となります。
チタン建材の用途
悠久の時を超えるチタン屋根
チタンは、軽くて丈夫で、そして耐食性が高く長期耐久性建築に最適です。
特に、社寺仏閣の屋根など、従来の瓦屋根と比較して格段に軽くなります。
その効果で、耐震性能の向上も図れ、かつ、長期腐食せず外観と性能を維持し続けます。それゆえに、チタンの用途で一番多い需要が、現在のところ、社寺仏閣関連の材料となります。
神社やお寺は地域に根差し土地の文化や風土、歴史を次世代に繋いでいきます。
悠久の時の流れの中で存在する必要のある建物です。
そこで、悠久の時の時の流れを乗り越えるチタンが選ばれています。
熊本県にある黄金純チタンの屋根をもつ、龍王神社様。
荘厳な外観と長期耐久性を備え脈々と受け継がれるご利益を感じられます。
悠久の時を乗り越えるチタン金具
それでは、社寺仏閣の用途ではチタンは屋根だけなのかということを思われる方がおられるかと思いますが、最近では飾り金具を中心として長期耐久性の高いチタン金具も開発採用が進んでまいりました。
屋根と同様に、長期耐久性があり、軽くて丈夫な金具でありますが、それだけではありません。 体積比熱が小さいことで、躯体である木材へとても優しい特性を持っております。
長期耐久性を保ちながら建物に優しく共存するチタン金具です。
広島県の神社様やお寺様にチタン性の飾り金具“”六葉“”を取り付けていただきました。
チタンという金属はなんとなく“茶色っぽい銀色”とイメージを持つ方も多いかと存じますが、多彩な色表現ができるのもチタン建材の特色です。
塗装やメッキではなく、チタンそのものの表面を変化させることで色合いを形成しています。 それゆえ、耐候性劣化やひび割れなどの現象がないのがチタン建材の特徴であります。
<チタン建材の色合いに関して>
多彩に加工できるチタン建材
チタンは硬くて加工がしにくいとか、溶接が困難であるとか、切断できないとか、さまざまな噂が巷で溢れていますが、それは、航空機や医療機器に使用する合金チタンのことをさします。
合金チタンは文字通り、チタンにさまざまな金属を溶け込ませ性能を上げるものです。
考え方的には鉄にクロムとニッケルを混ぜて作るステンレス鋼のようなものです。
つまり鉄は柔らかいですが、ステンレス鋼は硬いです。
これと同じことがチタンでも起こります。
チタンは元々は純チタンです。 その純チタンに金属を溶け込ませて合金チタンをつくります。
ですから、純チタンは比較的柔らかく加工がし易い金属です。
高野山のお寺様です。
屋根はブラックチタンで作られております。
そして、黄金に輝くのが黄金チタンの宝珠です。
この黄金チタンの宝珠は全溶接加工で作られています、
ヘラ絞りの技術を使用できなかったために、職人が展開図を作成してまるでりんごの皮をつなぎ合わせるように溶接しています。
その溶接痕を意匠研磨加工で綺麗に整え、IP Golden加工をおこなっています。
このようにさまざまな形へ加工できかつ、美しい外観と長期耐久性を兼ね備えることができるのがチタン建材です。
内装でも活躍するチタン建材
チタン建材は、軽くて、丈夫で、長期耐久性があるため外装が適切かと思われておられますが、実は内装用途でも活躍しています。
外も何十年という時間を超えていななければなりませんが、内部も同様に何十年という時間を超えていきます。
日本は四季折々の風景がある反面、湿度が高く寒冷差もあります。
そこで、内部の壁面にチタン建材を施工することで強靭な内壁を形成することが可能となるのです。
特に、汚れの除去には激しく拭き掃除をすることもあろうかと思いますが、チタン建材ならば、耐摩耗性に優れかつ耐食性が高いことで、アルコールや溶剤の使用が可能となり、簡便で美しい表面を何度も再生することが可能とります。
この様に内装でも持続的な環境を維持するチタン建材は活躍しております。
内装でご使用いただいたお寺様。
悠久の時を超えていくだけでなく、日頃のお手入れにも貢献します。
広がるチタン建材の用途
伝統建築から始まった、長期耐久性がある持続可能な金属 チタン建材。
最近まさに、さまざまな用途でも展開が加速しています。
屋外用途やアートまで様々な用途に広がり始めています。
モニュメントやサインなど長期の耐久性が求められる分野
受け継がれていく、書道家やアーティストの作品
機能と耐久性を兼ね備えたチタンプロダクト
そして、素敵なチタン
これまで、チタンは機能的な部分がクローズアップされ、それから訴求する用途へ展開してまいりましたが、チタン建材のもう一つの特徴は“素敵”です。
軽い 強い 腐食しにくい 。。。。そして 素敵なチタン
チタンは生まれて間もない金属です。
ようやく実用化が進んでまいりました。
素敵なチタンの表情は続々と進化しております。
デザイニングチタンの、新しい表情
黄金チタンのテクスチャーバリエーションはお客様のニーズに合わせフルカスタマイズで対応可能な意匠デザインチタンです。
まとめ
今回は未来の地球に何ができるか、SDGsの「住み続けられるまちづくりを」という目標に対して、長期耐久性がある金属であるチタン建材をご紹介しました。
もちろんこのチタンは他の金属と同様に、役目を終えると再度溶かされて再生します。
金属は作り出すまでには大量の炭素が今は必要です。
でも、一度、取り出せばあとは電気の力で再生を繰り返します。
電気エネエルギーの供給がグリーンなものとなる将来は金属はとても地球に優しい材料になるかと思います。
その中でも、耐久性が高く再生までの時間が長いチタン建材はこれからも活躍のシーンを広げていくかと思います。
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今回解説したチタンをご検討される際に、より役立つ一冊となっております。
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