etc シャインビーズブラスト デザイン ヘアライン系意匠材

デザイニングアルミニウム建材  ~アルミの素地を活かした意匠建材~

投稿日:

アルミニウム建材の特徴

アルミニウム建材は世の中で幅広く使用されている建材です。

一般住宅の窓枠やドア、扉など様々な用途に使用されています。
ビルの外壁や内壁にもふんだんに使われています。

 

アルミニウム建材の一番の特徴は軽さです。

ステンレス建材の比重が7.98 に対してアルミは2.7です。

つまり、
1㎡(1000mmx1000mm)で板厚が1.0mmであった場合、

ステンレス建材 約 8kg

アルミ建材   約 3kg

と半分以下の重量となります。

但し、強度がステンレスより弱いので実際には▲25%の重量ダウンというところでしょうか。

また、アルミニウム建材はステンレス建材やチタン建材と比較して素材の状態では耐食性が劣ります。
従いまして、表面にアルマイト処理という鍍金や塗装を施すことが業界の通例となっています。
それゆえ、アルマイト処理を行う際に顔料を混ぜる事で鮮やかな色合い(赤、青、茶色など)のアルミニウム建材が供給されています。

なので、皆様はアルミニウム建材というと、アルマイト色のグレーマットやカラーアルミニウムを思い描かれると思います。

では、アルミニウム本来の色合いで意匠表現した場合は、ステンレス建材と比較してどのような違いがあるのでしょうか?

最近は、コーティング技術も随分進歩しており、表面にコーティングを行う事で内装などでの使用では、耐えうる性能も用途によってはあり得る状況となります。
そこで、今回はアルミニウム建材をアルミの素地を活かして表現したものをご紹介します。

比較のために、ステンレス建材を同様の意匠表現を行い比較しています。

 

アルミニウム建材とステンレス建材

アルミとステンレスを比較した際、重量や強度が違うことでの設計思想が異なる事は前述の通りです。
今回は設計思想は別の機会に紹介させて頂くとして、デザイン・意匠 それも表面仕上げという観点で、アルミニウム建材をご紹介していきます。

デザインアルミニウム建材

アルミニウム建材

デザインステンレス建材

ステンレス建材

それぞれ単独で並べて見るとあまり変わらないように見えます。
実際にはそれぞれの、素材を活かした特徴ある表面となっています。

 

今回比較するのはステンレス建材ではポピュラーな仕上げで比較します。
一部、特殊意匠でも比較していきます。

<比較する表面仕上げ>

①ヘアライン

②バイブレーション

③ビーズブラスト(普通)

④ビーズブラスト(半鏡面)

⑤特殊意匠 霞模様

⑥特殊意匠 アートグライディング

一般的に見かける仕上げで比較していきます。

 

ヘアライン仕上げでの比較

ステンレス建材では非常に多くの用途や場所でご使用頂ているもっともポピュラーな仕上げです。
エレベーターやエスカレーター、手摺、壁面 様々なところでご使用いただいております。

実は、アルミニウムのヘアライン材というのももっぱら珍しいわけではなく、
エレクトロニクス製造装置用のパネルや店舗什器等結構いろいろな所で使われています。

ではどんな表情となるのでしょうか?

ヘアライン仕上 アルミ、ステンレス

左:アルミニウムヘアライン建材
右:ステンレスヘアライン建材

並べて見ると結構違います。

アルミニウム建材は白くて柔らかい印象です。
ステンレス建材は黒く見えますが、それは輝いているためです。鋼らしく重厚感ある表情です。

もう少し寄ってみます。

ヘアライン仕上 アルミ、ステンレス

左:アルミニウムヘアライン建材
右:ステンレスヘアライン建材

アルミニウムはアルマイト処理などの膜を形成していません。
それでもこれだけ白く見えるのが特徴です。

意匠研磨加工の掘り込み深さはアルミニウムが柔らかい分凸凹は深くなります。

ヘアライン仕上 アルミ、ステンレス

左:アルミニウムヘアライン建材
右:ステンレスヘアライン建材

角度を変えても、白さはアルミニウム建材の特徴です。

 

バイブレーション仕上げでの比較

2000年頃に全国的に広まったステンレス建材であるバイブレーション仕上。

ランダムヘアライン、パーマネントヘアライン、無方向ヘアラインなどの別の呼び方で呼ばれる事もある仕上げです。
ステンレス建材ではエレベーターの扉や籠の中の仕上げがポピュラーで建具や壁面材でも多く使用されています。
また、住宅機器(キッチンなど)にも多くの使用例があり、ヘアラインに次ぐ意匠材です。

では、アルミのバイブレーション仕上はこれまでにないかというとそんな事はありません。建築の内外装、建具などに多く使われています。
アルミ素地というよりはカラーアルマイトをほどこし、ダーク系などの落ちついたアルミニウム建材パネルとして使用されています。

それでは、素地のアルミニウムのバイブレーション意匠仕上げとステンレスバイブレーション仕上の比較を見ていきましょう。

アルミニウム、ステンレス、バイブレーション仕上げ

左:アルミニウムバイブレーション建材
右:ステンレスバイブレーション建材

印象的にはステンレスヘアライン建材とほぼ同じような差ではありますが、バイブレーション仕上というのは、無方向へアラインという呼び名があるだけあって、方向性のないマットな仕上げです。

それ故に、見る方向で大きく見え方が変わるような事がなく落ち着いた表現が可能となる建材です。

もう少し寄ってみます。

アルミニウム、ステンレス、バイブレーション仕上げ

左:アルミニウムバイブレーション建材
右:ステンレスバイブレーション建材

アルミニウム、ステンレス、バイブレーション仕上げ

左:アルミニウムバイブレーション建材
右:ステンレスバイブレーション建材

方向性のない表面ではありますが、遠くからの視認性が少し劣ってしまうのが難点です。

 

ビーズブラスト(普通)仕上げでの比較

ステンレスビーズブラスト建材もステンレスバイブレーション建材の誕生と同じくらいに登場した建材です。

ステンレスにビーズ状のメディアをぶつける事で煌めきと反射を抑えるエレガントな仕上げです。主に店舗什器や建物内外装に使用されるのですが、ステンレスバイブレーション程普及してない理由は、加工が面倒であるからです。
板素材形状を曲げるだけで製作できる金物であれば良いですが、溶接などが入る場合、その仕上げが極めて困難で専用の設備や技術がないと仕上げる事が出来ません。それが普及を妨げている大きな原因です。

では、アルミニウムのビーズブラスト仕上げというのは使われているのかというと結構様々なところで使用されています。

皆様が馴染みのないエレクトロニクス製造装置(特に真空装置)では、GBB処理といって防着板やシャワープレートという部品にブラストで仕上げます。
その効果は複雑なので割愛しますが、真空度向上やコンタミの剥離防止などさまざまな効果があります。
身近なところではスマートフォンやタブレットでアルミニウム筐体が梨地加工してありますが、それがビーズブラスト仕上げです。

では、アルミニウムのビーズブラスト建材とステンレスのビーズブラスト建材の比較をしていきます。

アルミニウム、ステンレス、ビーズブラスト仕上

左:アルミニウムビーズブラスト建材
右:ステンレスビーズブラスト建材

どちらもエレガントな仕上げになりますが、最大の特徴はステンレスビーズブラスト建材はステンレスの表面光沢が残り煌めくのに対して、アルミニウムはその反射が極めて少なくなり梨地加工という表現が合う仕上げとなります。

アルミニウム、ステンレス、ビーズブラスト仕上

左:アルミニウムビーズブラスト建材
右:ステンレスビーズブラスト建材

アルミニウム、ステンレス、ビーズブラスト仕上

左:アルミニウムビーズブラスト建材
右:ステンレスビーズブラスト建材

建築内外装パネルなどに用いると光の反射が少なく拡散され反射による不具合などを抑制する事が可能となります。

特に屋外で太陽光の反射による反射公害を抑えるには役に立つ建材です

 

ビーズブラスト(半鏡面)仕上げでの比較

これまでスタンダードなステンレス建材とアルミニウム建材との比較をしてまいりましたが、ここからはアルミの素地をもっと活かす仕上げでの比較をしていきたいと思います。

前述しているように、アルミニウム建材は通常、アルマイト処理や塗装をします。
それ故に、金属光沢がなくなるというデメリットがあります。

そこで、アルミニウム建材でも、ステンレス並みの光沢を残した状態で意匠仕上げを行う商品で比較していきます。

ステンレス建材では良く反射や映り込みを重視する部分に使用するステンレスビーズブラストの鏡面残しという建材があります。
この仕上げをアルミニウムへ施して比較します。

アルミニウム、ステンレス半鏡面仕上げ

左:アルミニウムビーズブラスト(半鏡面)建材
右:ステンレスビーズブラスト(半鏡面)建材

ステンレスビーズブラスト(半鏡面)建材はぼんやりと周りを映しこんでおります。

アルミニウムビーズブラスト(半鏡面)建材はステンレス建材程ではありませんが、少しぼやける感じで周りの風景を映しこみます。

アルミニウム、ステンレス半鏡面仕上げ

左:アルミニウムビーズブラスト(半鏡面)建材
右:ステンレスビーズブラスト(半鏡面)建材

アルミニウム、ステンレス半鏡面仕上げ

左:アルミニウムビーズブラスト(半鏡面)建材
右:ステンレスビーズブラスト(半鏡面)建材

コーティングが発達したおかげで鏡面残しの表面でも腐食せず輝きを保つ事が可能となります。
屋内の使用前提で、これまでにないアルミニウムの意匠提案が出来る建材です。

 

特殊意匠 霞模様 仕上げでの比較

これまで汎用的に比較できる仕上げのそれぞれの建材比較でありましたが、特殊意匠をほどこした場合の見え方、不具合などについて比較します。

今回のテーマはアルミの素地を活かした意匠建材であるので、先ほどのビーズブラスト(半鏡面)同様に、光沢が残る形の意匠での比較を行ってみました。
ステンレス意匠建材では霞(かすみ)と呼ばれる建材です。

この仕上げでそれぞれを比較します。

アルミニウム、ステンレス 霞仕上

左:アルミニウム霞仕上げ建材
右:ステンレス霞仕上げ建材

同じように光沢が残りつつ、靄の様なテクスチャーのある建材ですが、アルミニウム側をよく見ていただくとかなりムラが出ます。
理由は、ステンレス鋼は表面が固いので、研磨工程ではステンレス表面を滑るように機械設備が動いていきますが、残念ながらアルミニウムは表面が柔らかいためにある予測不可能な位置で圧力が上昇し、引っかかります。
そこがムラの原因となります。

最近では、このムラを意匠として表現するケースも増えており、均一でないことが逆に良いとされる場合もあります。

従いまして、この様なスクラッチ型の意匠仕上げにおいては均質な表面はステンレス建材が有利ですが、不均質な表現ではアルミニウム建材が有利といえます。

アルミニウム、ステンレス 霞仕上

左:アルミニウム霞仕上げ建材
右:ステンレス霞仕上げ建材

アルミニウム、ステンレス 霞仕上

左:アルミニウム霞仕上げ建材
右:ステンレス霞仕上げ建材

まだまだ、アルミニウムの特殊意匠表現を行った建材は広がりを見せる可能性を秘めています。

 

特殊意匠 アートグライディング仕上げでの比較

最後に紹介するのは、アーティストの世界となります。

アートグラインディングという完全オーダーメイドでアーティストや職人が手で仕上げていく手法です。

何か特別な空間や意匠を表現する場合に使用するアートグラインディング手法。
この手法を用いたそれぞれの建材での表現を比較します。

今回はステンレスアートグライディング仕上げ【MODEL 焔】で比較します。

【MODEL 焔】概要

https://www.mako-metal.com/case/homura

https://www.mako-metal.com/series/artgrinding

アルミニウム、ステンレスアートグラインディング建材

左:アルミニウムアートグラインディング建材
右:ステンレスアートグラインディング建材

かなり独特な印象となります。

二つのそれぞれの焔は印象が違いますが、共に焔が踊り狂う様を表しています。

アルミニウム、ステンレスアートグラインディング建材

左:アルミニウムアートグラインディング建材
右:ステンレスアートグラインディング建材

アルミニウム、ステンレスアートグラインディング建材

左:アルミニウムアートグラインディング建材
右:ステンレスアートグラインディング建材

求める空間に合わせて、アルミニウム建材やステンレス建材を選択する事で、同じような意匠をほどこしたとしても与える印象をコントロールすることができます。

 

デザイニングアルミニウム建材のまとめ

意外と知っているようで知らない、アルミニウム建材とステンレス建材の見え方、印象の違いをお分かりいただけたでしょうか?

これまで、アルミニウム建材はアルマイトや塗装が必須となっており、中々表現の幅が限られ同じような印象を持つ意匠となっていました。

内装限定で且つ用途も限られてしまいますが、ガラスコーティングを行う事で耐食性を確保し、アルミ本来の色合いや質感で表現出来る事が出来ます。

これまでのアルミニウム建材の印象を変え、新しい空間デザインの参考になれば幸いです。

 

<ガラスコーティング液販売>

トップマコート株式会社

https://www.top-macoat.co.jp/