ヘアライン仕上げとは、「金属の表面を長い女性のストレートヘアーのような髪の毛が真直ぐに続くラインを施した意匠仕上げ」のことを言います。古くから使用されている研磨技術ですが、
今回は詳細な解説、またヘアラインのバリエーションについて解説していきます。
ヘアライン仕上げとは
改めてヘアライン仕上げとは、金属の表面を長い女性のストレートヘアーのような髪の毛が真直ぐに続くラインをほどこした意匠仕上げです。
このヘアライン研磨仕上は古くから使用されている汎用的な意匠仕上げです。
標準で市場に流れているステンレスヘアラインでは#180~#240が主流です。とても、単純ですが長年愛されている研磨仕上げとなります。
ヘアライン研磨加工は、真直ぐに伸びる研磨目を粗さを変える事で様々に表現できます。また、交差することでクロスヘアラインと呼ばれる派生のデザイン仕上げも可能となります。円形状に加工することで、レコード盤の様な円形ヘライン研磨が出来ます。
ステンレスの表面処理では建築や機器類で一番多く使われています。 汎用性も非常に高く、あらゆる板厚、あらゆる幅長さが汎用的に流通しております。ステンレス鋼種もSUS304、SUS430と汎用材はほぼ取り揃えらえております。
ステンレスヘアライン研磨の製造方法ですが、大きく二つの種類があります。 汎用の板厚やサイズであれば、あらかじめ鉄鋼メーカーでヘアラインをほどこしたステンレスコイルが作られ、各地域のコイルセンター様で板形状にされて供給されます。 対して、特殊な板厚や特別な鋼種である場合は、地域の研磨加工メーカーがそれぞれのヘアライン製造技術で研磨加工を行います。 違いは表面の粗さと光沢です。 鉄鋼メーカーの製造するステンレスヘアラインは研磨液中で回転するペーパーの研磨目によりヘアライン研磨目が形成されます。 対して、地域の研磨加工メーカーではペーパーは静止もしくは微回転の状態で研磨目が形成されます。 この違いが光沢と研磨目に深さに影響します。 鉄鋼メーカーの研磨は大型のコイルで製造されるので研磨目の微調整は難しいとは思いますが、地域の研磨加工メーカーであれば研磨目の調整は可能です。 デザインや用途に合わせて選択されることをお勧めします。
ヘアライン研磨の溶接部分修正や、板金加工曲げ修正等は比較的簡単にできますが、ステンレスヘアライン板製造時と同じ粒度のペーパーなどを用いる事でさらに簡便に処理する事が可能です。
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特徴
ヘアライン研磨仕上げは磨き方がとても簡便で汎用的な仕上げです。小さなものであれば誰でも簡単に仕上げることが出来ます。、適応素材はステンレス鋼、チタン、アルミ、銅、真鍮に仕上げる事が可能です。
ステンレスヘアライン板材は通常SUS304ヘアライン材が使用されます。 この商品は汎用的に様々な用途用法に用いられるので、ご存知の方も多いかと存じます。 対して、アルミのヘアライン板材は随分と違います。 アルミヘアライン板材はあるまいとしていない板材でなくてはなりません。 アルマイト加工はアルミ生材へヘアライン加工したのちに行う必要があります。 従いまして、アルミニウム製のヘアライン加工物を作る際には、最初に生材のアルミヘアライン板材を購入したのち、切り曲げ溶接加工後、欠陥部修正ヘアライン加工を経て、アルマイト処理という工程になります。
もちろんアルマイトでなく、クリア塗装やカラークリア等で仕上げる事も可能です。
アルミニウムのヘアラインで気をつけなければならないのは、油をひいてアルミヘアラインを製造する工程を持つメーカーもあります。 その場合、最終仕上げ後の脱脂処理は必須となりますのでご留意ください。(弊社はノンオイルです)
また、設備は各々異なりますが、板形状、角パイプ、丸パイプ、チャンネル、アングル等の型鋼、また、加工品形状まで幅広く仕上げる事が出来るのも大きな特徴です。ヘアラインを使用した建築部品は非常に多いです。
これらの型鋼やパイプもステンレスのみならず、アルミニウム、真鍮、銅と様々な素材に対応できます。
ただし、腐食しやすい金属(銅や真鍮)は仕上後の保護フィルムも大変重要であります。 また、使用期間も決めておかないと、腐食してまだら模様に変色した表面は再研磨しないと直りませんのでご注意ください。
バリエーション
ヘアライン研磨仕上げは、研磨目の付け方によって、意匠表現のバリエーションが増えます。クロス、円周形状、直線、部分ヘアライン、等、線で描ける意匠表現には非常に適しています。
部分的にヘアラインと鏡面を交互に配置したり、ステンレス鏡面板材を斜めに横断するようなにヘアライン目をつけたりと、幾何学的な意匠表現に適しております。
研磨する粒度や速度、方式を選択する事でアートメイク、大胆な表現も可能となります。
その他、ヘアライン仕上げについてはコチラもご覧ください。
ぐるぐる目玉と鏡面加工 -●- UFO POLISH -●-
注意点
薄い目のヘアライン研磨板が良く出回っていますが、掘り込み深さが浅い分、指紋や
汚れが付きやすくなります。 また、厄介なのは掘り込み深さが浅いために、アンカー効果という接着力に起因する特性がなく、コーティングなどがはがれやすいという難点があります。
従いまして、良く点に触れる用途の場合は、少し掘り込みの深いヘアライン研磨板を購入され、弊社(子会社)が扱う、耐指紋コーティング材MaCoat GCなどを使用する事で美しさを継続する事が可能です。
【美しいデザインをいつまでも】
誰でも手軽に簡単に指紋対策が出来るコーティング液を販売しています。 耐指紋コーティング液「MaCoatGC」は金属に液体を塗るだけで、指紋対策ができます。コーティングされた金属は見た目にはほぼわかりません。 液体コーティングは金属の場所、形を選ばず手軽に施工できるため、エレベーターの三方枠や内装パーテーション、アートワーク等、様々なところに採用が進んでいます。 ご購入に関しては当社へ直接お問い合わせください。